クシロ薬局

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水治療法の歴史と効用

水治療は何千年もの昔から存在している。

紀元前四OOO年のサンスクリットの文献にも沐浴による治療の処方が記されている。

チベットの古文書の中に、水治療に関することが発見された。

バビロニア、エジプト、クレタ、ペルシャの人々はみな、沐浴と水治療を広範囲に活用していたということになる。

ローマ時代ローマ人がぜいたくな浴場を建設し、それをョーロッパ全土とアフリカに広めたのだ。(クレタのクノッソスの遺跡…屋内浴場や現代の水道施設にも匹敵するような複雑な下水道)。

また、ギリシャのスパルタ人は、生まれたはかりの赤ん坊を氷水に浸し、病気に対する免疫を作ろうとした。

紀元前二二一年頃、ギリシャの数学者アルキメデスは「氷の中に全体または部分的につかった物体は、そのときこぼれる水の重さと同じ力で持ち上げられる」という、有名な原理を発見した。この原理がずっと後にきっかけとなり、フランクリン・ルーズベルト大統領がジョージア州のフォームスプリングズにリハビリセンターを設立。未来の身障者のための水治療の発達にとって、アルキメデスの原理はとても重要な役割を果たしてきた。

紀元二世紀、ローマの医師ガレンもやはり、水は沸騰させた後冷やして飲むべきだと勧告している。彼はまたローマで非常に盛んだった入浴療法の熱心な信者であり、それにマッサージと運動法を加えて、彼独白の治療法を編み出した。

ローマのアウグストウス皇帝は、水治療によって回復した患者の一人である。さらに彼はローマ浴場を大衆化し、当時ローマだけで八五○の浴場があったと言われている。

中世になると入浴と水の評価はめっきり衰えた。その詳しい理由については、歴史家にでも聞かなければわからないが、おそらくは疫病が流行したこともそのひとつだったのだろうと思う。ローマで衰えていたそのころ、まだ誰も踏み入ったことのない大西洋の向こう側に任むアメリカインディアンたちが、諾々の病気に入浴を用いていた。彼らはケイシーの「蒸し風呂」に似た蒸気の風呂を使い、入浴の後にはたいがい冷たい川の中に飛び込んでいたらしい。また、一五世紀には、トルコ人たちがコンスタンチノープルに素晴らしい浴場を建設し「湯気の風呂」を広めた。今でもこの「トルコ風呂」はポピュラーである。一七七六年、有名な福音伝道者でメゾジスト教会の創始者でもあるジョン・ウェスリーは七○種類もの病気を治療するのに冷水入浴を用い、200もの病気に治療の一部として用いた。

「冷水入浴は治療のために非常に有効である。それは病気の蔓延を防ぐ。それは発汗を促進させ血液循環を助けて感冒(カゼ)を防くのである」と彼は書いている。

その序文の中でジョン・ウェスリーはこう言っている。

「常に食生活に関して最大の注意を払いなさい。あらゆる混合飲料、また濃く味付けされた食物を控えなさい。

簡単な食事と消化にいいものを心掛けなさい。気楽にでき体力を損なわない程度につましく行うのです。

タ食は六時か七時に軽いものを摂りなさい。早く寝て早く起きなさい。これらを厳守することで治療の半分以上が達せられたといえます。これに祈りと神への信仰を付け加えるのです」。

セバスチャン・クナイプ神父(クナイプ療法で有名な人)は一八九二年にプライト病(腎臓病のひとつである)にかかった、オーストリアのョーゼフ皇子を水で治療した。また一九世紀初期、オーストリアの農夫の息子であったヴィセント・プリースニッッは一七歳のとき、事故で体が不自由になってしまったが、彼は水治療で自分を治してしまったのである。

彼は自分で水治療を発見し、まず自分を治し、さらには隣りの農夫や家畜までをもこの治療で治してしまったのだ。こうして彼は三○歳になったとき、「水治療」を確立した。彼はたちまち有名になり、やがて王室や政治家たちが彼の元へ訪れるようになると、「水治療」は再びョーロッパ中に根付いた。そして温泉地にはどこでも病気を治したり緩和したりする魔法の効果がある、と謳われるようになり、ついにプリースニッッは、オーストリア政府の支持を得るようになったのである。

アメリカ合衆匡での水治療は、サイモン、ハルーク博士の協力を通して広く知られるようになった。この人物は財政家で、大統領顧問であったバーナードバルークの父に当たる人であるが、彼の著書である『水治療法の理論と実践』(一八九九年)、『水治療法概要』(一九二○年)がアメリカ含衆目でのきっかけである。またジョン・ハーヒー・ケロッグ博土の仕事も同様に重要なものである。彼は一八七六年にバトルクリーク診療所を設立、栄養学的、衛生学的な面から薬にたよらない治療を実践した人物である。彼はそうした食餌療法、運動法、電気療法と並んで水治療法も科学的に体系づけてアメリカに広めたのである。著書『合理的水治療法』(一九OO年出版)こ、そうした治療法こついて200ぺ−ジを使ってまとめているが、それを読むとわかるように、電球で熱したキャビネットを発明したのは彼である。

ケイシーの蒸し風呂を患者に行うときは、この初期の型を使っている。水治療法はその多数性からいっても他に類をみない。水の本質は流動的である。水の働き方(私たちに働きかけるもの)は、他のどんな方法よりも勝っている。

水によって弛緩、刺激、痛みの緩和、治癒、そして身体の内的、外的な浄化を施すのである。そして身体の自己治癒力を最大限に刺激し、副作用のようなものは全くない。

水は真に自然で流動的で、患者の微妙な容態に適応することができるのだ。それに使いたいときにはいつでも手を伸はせばそこにある−−ただし私たちがそれを汚染しなけれはだが−−それにとても安い。

水治療は、水を科学的処理で人体に適用させることもできるし、病気を治療もしくは予防する。また身体的および心的失調を整水は人体の外部にも内部にも適用できる。

それは単に外の汚れを落とす洗浄もあるし、内科的な洗浄、つまりロの中や植物の中を洗うこともできる。

また、循環系統を刺激するためには、お湯と冷たい水を交互に用いればいい。運動療法ではさまざまな水治療の方法を組み合わせて用いる。

水は痛みを緩和したりするとき、氷や熱湯に変化させるとその効果が増す。

水は身体を温めることも冷やすことも出きる。関節炎、リューマチ、神経炎、痛風、などの痛みの緩和には

熱いお湯につかるといいし、疲労を克服し、神経を刺激するためには逆に冷たい水にほんのちょっとつかる。

セックスを刺激しその行為を延長するには、腰湯が効く。

入浴のこのような様々な方法に手を加えることでその効果が増す。

暑いおゆには硫黄や松、シャリ塩、その他の塩を加えてもよい。排泄作用を刺激するために皮膚、肺、腎臓を通して直接与えられる蒸気やスチーム療法では、そこに他の成分を加えることで、効果が増す。

さらに内部洗浄のために水を飲んだり、洗腸、注水などをしてみると、水は自然が与えてくれた最も強力な治療手段のひとつであることがよくわかる。

氷は水や蒸気に比べて治療にはそう頻繁に登場するわけではないが、それでも治療において決定的な役割を持っている。例えば神経を刺激するとき、循環器系統を活発にするとき、筋肉の働きを柔軟にするときなどに使われる。また熱があるときに、頭や首を冷やしたり、頭痛を和らげたりするためにも使われるし、火傷や損傷の応急手当てにも不可欠だ。

さらに炎症を抑制し、化膿が激しい場合には循環器系統の働きを遅らせるために使われ、病原菌の蔓延を抑制するのに役立つ。

デーヴィッドを始めとする椎麻痺の患者に氷のうを使ったとき、その発想がュニークだと思ったかもしれない。だが氷のうや冷湿布、温湿布、または薬草、オイル、もしくは何らかの成分を含ませて水に布を浸して作る湿布などは、自然療法の中でも特に重要な位置を占めているのである。

フレデリック・M‐ロシター博士は次のように言う。

「人間の皮膚は人体の中でも最も大きく最も重い組織である。平均的な男女をすっぽりと包むにはおよそ五メートル程の皮膚嚢か必要である。皮膚全体は神経および維管組織が細かく編み合わさった巨大な感覚薄膜といえる。だから水治療は全組織に働きかけることができるであろう。

一平方インチあたりの皮膚の中にはさまざまな組織からできた何百万もの細胞と、一メートル以上にもおよぶ細かい血液の管、3メートル以上にもおよぶ神経繊維、100の汗腺、それに20もの皮脂腺が含まれている」

こうしてみると水をさまざまな温度、形態で皮膚に適用するとき、生体の他の多くの部分が同時に作用を受けることが理解できるだろう。

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