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九州大学生体防御医学研究所 免疫学部門 教授 野本亀久男
1.生体防御の基本
系統発生的進化の初期の動物は、自分の体内の浸透圧に近い海水中に棲んでいますから身体の構造が開放的です。
言いかえると、海という巨大なバッファーを備えていることになります。しかし、進化が進む段階で陸上へと上がってくるとき、体表層(皮膚や粘膜)でおおわれた生体内部(しばしば組織内といいます)に小さな海を封じ込める状態になりました。このバッファーとしては量が少ない体内空間をクリーンに保つのは大変な仕事です。絶えず多くの微生物が侵入し、定着、増殖の場に利用しようと狙っています。
生体内部では、自己由来の老廃産物、過剰産物も絶えず作られています。外来性の異物を排除し、自己由来の不要成分を処理するしくみとして、生体防御が発達してきたわけです。生体防御は多くの防御因子を含みますが、系統発生的進化の初期から存在していた体液性の活性物質群、食細胞系(マクロファージや好中球)、NK細胞リンパ球に近いが、進化していない)などの初期防御系と、Tリンパ球、Bリンパ球が主役を演じる免疫系とで大切な部分は担われています。
異物侵入後の連続的バリアー、骨髄からの段階的把握、時器固有の防御システムによる生体防御機構の構築
粘膜のバリアー(臓器固有の防御システム)
↓
体液性生体防御機構(初期防御酵素や細胞)
↓
細胞性初期防御(2〜3日):カゼや感染症はここで止めると長引かない。
↓
(これ以降が免疫系統は活躍する場なので最低一週間はかかる。)
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↓
からだの中 元気に働かないとだめ健康維持の基盤
↓ ?
免疫応答(末梢リンパ組織)←成熟中枢(A:胸腺、B:骨髄)←骨髄(幹細胞)
↓↓ 免疫反応の発現(異物の場)(一週間以降)
外層胚葉動物の生体内部で働く遊走性食細胞
1.アメーバなど単細胞生物による微生物の補食と栄養化
間充ゲルのなかに走性食細胞(マクロファージ、好中球)がはしる。
二胚葉動物から、遊走性食細胞による生体防御機能への専門職化が始まるじまる
2.生体防御の構築
生体防御の守備範囲は、皮膚や粘膜などの体表層と生体内部(組織内)です。
体表層では、主として外来性異物とくに微生物の組織内侵入を阻止します。組織内へと侵入してしまった微生物に対しては、まず初期防御系が排除に働き(2一3日以内)、それをのりこえた微生物に対しては免疫系が排除に働きます。初期防御系は、微生物が大量に増殖する前に排除しようとする役割を分担します。免疫系の担い手であるリンパ球は、外来性の抗原の刺激によってどんどん増殖する性格をもっているので、微生物の増加にはりあって、リンパ球も増加します。大量のリンパ球(実際には抗体や感作リンパ球)で、タフな微生物をねじ伏せようとするわけです。生体防御に関与する細胞は、初期防御系でも、免疫系でも、骨髄中の親の細胞、すなわち多能性幹細胞を起源にしています。生体防御が円滑に働くには、骨髄から、防御因子としての食細胞、リンパ球、NK細胞などが絶えず供給され統けなければなりません。
生体防御をおおまかに捉えるには
1)体表層のバリアー
2)そのバリアー内で初期防御系から免疫系へと時間的な切れ目のない連続的バリアーの構築、
3)骨髄からの防御因子の供給という座標軸をおくのが便利です。
生体防御の連続的バリアーと微生物の存在様式の違い
1.典型的初期防御→異物侵入即応→微生物は異物粒子的
↓
2.中間期防御(ここまででなおすとよい。)→ 2〜3日で対応(PTレスポンス)
↓
↓ 定着、増殖の手がかりをつかんだ時点
(とくにお年を召された方はここまでで治さないとだめ。)
↓
3.典型的免疫防御(一週間ほどして病院や医師にに受診するとき以降)
↓
クローン増殖後後対応
↓
周囲に増殖に適した微小環境を構築、
PTレスポンスを加えた連続的バリアー
接触する異物の幅(一部づつが各ステツプで切り離される)
1.活性物質群(秒〜分:酵素)
2.補体(数分〜数十分)
3.好中球(数分〜数時間)
4.マクロファージ(10〜60時間)(
5.PT(primitiveな免疫)レスポンス(γδ型T細胞)
PT(primitiveな免疫)レスポンス(未発達αβT亜集団)
(3〜6日)
6.典型的免疫系(進化したαβT細胞)
(7日以降)
以上が15年かかってできたもの1991年完成
身体は以下のものに守られている。
皮膚のバリアー
腸管粘膜のバリアー
呼吸器系のバリアー
尿路系のバリアー
これらを細菌、真菌、原虫などやウイルスがとおると
1.体液中に普遍的に存在する活性物質群
2.補体
3.好中球
4.マクロファージに1.2.3.4と順番にいく方法と
インターフェロン、マクロファージ、NK細胞をつくって
免疫の第2段階:免疫の成立に向かう方法がある
骨髄の幹細胞が好中球、マクロファージ、NK細胞それに免疫の第一段階(:免疫能力の獲得)を促進する。
免疫の第一段階(:免疫能力の獲得)とは
胸腺、骨髄ぜんクローンリンパ球の産生
・リンパ球としての基本的能力
免疫の第2段階:免疫成立
・脾、所属リンパ節・抗原特異的クローンの分裂、分化・抗体、感作酸ンパ球の産生
免疫の第3段階:反応の発現
・異物の残存する場抗体、感作リンパ球の結合一連の反応発現
3.呼吸器固有の防御システム
呼吸器系固有の防御システムの理解がまず必要です。
のど(喉頭、咽頭)のあたりでは、粘膜細胞層でおおわれ、その上を粘液が潤しています。粘液自身、酵素や多くの体液性防御因子を含み、微生物を殺す活性をもっています。また、微生物が組織内へと侵入するには、まず粘膜上皮細胞の膜表面に付着しなければなりませんが、粘液はこれを阻止します。膜表面に付着できなかった微生物は、粘液とともに飲み込まれ消化されてしまいます。健全な粘膜細胞屑は微生物の侵入を阻止する有効な機械的バリアーです。
肺では、複雑に枝分かれしている気管支の構造自身、重要な防御の要素です。迷路のどこかで気管支粘膜に付着し、最末端の肺胞には到達できません。肺胞内では、組織外へと移動したマクロファージが粘液に包まれて、異物の到達を待ちかまえています。肺胞まで到達し、肺胞マクロファージにとらえられた異物や、途中の気管支粘膜でとらえられた異物は、粘膜上皮細胞表面のせん毛の運動によって、のどの部分まで搬出され、喀淡として排出されます。
パトロール型防御システム(これは動物の進化とともなってできる)=大網の進化
大網の進化(系統発生的)と袋小路的進化(住みわけへの適応)
組織固有の生体防御機序
皮膚 密な表皮細胞層による機械的バリアー一>角化表皮細胞の剥離一>ランゲルハンス細胞による免疫促進一一>強い皮内反応による防御因子の集合促進
肝 クッパー細胞による血中の異物クリアランス一>一般的生体防御の流れ
腸管 常在細菌叢の生物学的バリアー一>粘膜上皮細胞の剥離による付着微生物の排出→腸管関連リンパ組織の機能の維持一> 分泌型l g Aの粘液中へ分泌
肺 繊毛上皮細胞による喀出→肺胞マクロファージ→一般的生体防御の流れ
4.かぜの発症と生体防御
かぜのウイルスが粘膜上皮細胞の間に拡がり、さらに組織内へ侵入するには、その第一歩として粘膜上皮細胞内へと侵入することが必要です。その細胞の代謝系を利用しウイルスの遺伝子(青写真)の指令によって、ウイルス粒子が生成されます。近接する粘膜上皮細胞へと横の伝播が行われ、ウイルスにのっとられる細胞が増加し、病巣がひろがります。また、粘膜上皮細胞が破壊されると、そのあたりに存右している細菌が組織内へと侵入するようになります。カゼのウイルスのみによる感染にとどまらず、細菌との混合感染へと進むことになります。
カゼのウイルスに感染させられた細胞は、インターフェロンを産生・放出し、未感染細胞へと作用させます。インターフェロンの作用を受けた未感染細胞には、ウイルス粒子の生成を阻害する酵素が誘導されるので、ウイルスに対して抵抗性をもつことになります。
また、ウイルス感染細胞は正常細胞とは異なる性格があらわれるので、NK細胞が標的として識別し結合して、感染細胞を破壊します。
このような初期防御系が勝てば、かぜは2一3日以内に終わることになりま
す。
しかし、初期防御系が敗れ去るとウイルスは存在し統け、l g G抗体やキラーT細胞が産生され、免疫系による防御が働き始めることになります。
初期防御系、免疫系へと防御が展開する間に、肺へとウイルス感染がひろがると、細菌感染も重症化し肺炎の形をとることもあります。
初期防御,免疫防御によるウイルスへの戦い ウイルス感染細胞の破壊
ウィルス感染 ↑
↓ |--T→CD8+キラーT細胞
マクロファージ-----------------→NK 細胞---|
↓ | |--B→IgG抗体→ウイルス粒子への攻撃
ウイルス粒子のとり込みと消化 |
↓
ウイルス感染細胞の破壊
生体肪御の正常レベル
適度なストレスは生体防御系の刺激を与え戦闘準備状態にする。
過度のストレスの繰り返しは生体防御系を崩壊へと進める。
6.かぜの予防とストレス
心身ともに過度の刺激が持統するといわゆるストレス状態となり、生体防御の機能は低下します。
好中球やマクロファージが微生物侵入の場へ集合する機能が低下し、NK細胞がウイルス感染細胞を破壊・る活性が低下します。
適度の断統的なストレスは、プラスの刺激として働き、生体防御が円滑に働けるよう戦闘体勢をとらせます。
度を越すと門題となるのです.
ストレスには、精神的なものと、肉体的なものがあります。
ジョギングなどの運動も適度に行えばプラスの刺激になりますが、過度に行えばマイナスのストレスとなり、生体防御の機能低下をひき起こすことになります。
生体防御の正常レベルをひきおとすものは
1.化学療法
2.ストレス(気分を変える)
3.栄養不全(ここをおとすな)
清涼飲料水をのむだけでもスキットすれば変わる。
楽しい食事
かぜの発症から感染症の重症化
かぜのウイルス→正常粘膜上皮細胞
↓
感染細胞の出現
↓
感染細胞のひろがり(ここまでで止めるとよい、風邪を引かない)
↓
粘膜が破け細菌との混合感染が起こる(この時に抗生物質が効く)
NK細胞によるウルス感染の中断
NK細胞による感染細胞の破壊(NK細胞は抗原刺激がないとだめ、はじめてであったものでも殺すことが出きる)
↓
正常粘膜上皮細胞層の修復
感染症の発生と生体防御系のかかわり
1.健全な人にも感染症をおこす強病原微生物(健康な人でも病気になる)
2.軽い一過性の生体防ガ御の低氏下につけ込む中病原性微生物
3.本格的な生体防御の低下つけ込む弱病原性微生物(日和見感染症の中心)
2〜3にかけては抗生物質は効きにくい。
生体防御系のレペルは1〜3にいくほど下がる。
5.漢方薬によるかぜとの戦い
漢方薬には多くの有効成分が含まれるため、その作用を測る物差しとしても、生体側の多くの要素が統合されたものでなければなりません。生体防御の連統的バリアーは、最も適正な物差しです。
1つの防御因子への効果は弱いものでも、多数の防御因子が少しずつ活性化されると、生体防御の連続的バリアー全体の流れとしては強カに活性化されたことになります。
サイコサポニンを中心的有効成分として含んでいる小柴胡湯を例にとると、好中球、マクロファージ、NK細胞などの初期防御系の防御因子の活性化が表面化します。かぜを早めに中断させる効果が期待されます。生体防御の捉え方の座標軸のいろいろな部分が、それぞれの漢方方剤によって活性化されます。
かぜの時期によって、適切な方剤も変化すると考えられます。この点については、私の生体防御との関わりについての研究を、漢方の専門家の方々に御利用いただくほうがより効果的とおもいます。
小柴胡湯:生体防御の連続的バリアーの活性化
好中球、マクロファージ、インターフェロン、それに免疫の第2段階:免疫成立から免疫の第3段階:反応発現を促進する働きがある。
人参養栄湯:骨髄幹細胞の活性化
免疫の第1段階:免疫能カの獲得
・胸腺、骨髄
・全クローンリンパ球の産生
・リンパ球としての基本的能カ
免疫の第2段階:免疫成立
・脾、所属リンパ節・抗原特異的クローンの分裂分化
・抗体、感作リンパ球の産生(PBA)
免疫の第3段階:反応発現
・異物の残存する場
・抗体、感作リンパ球の結合
・一連の反応発現
生体肪御の正常レベル
適度なストレスは生体防御系の刺激を与え戦闘準備状態にする。
過度のストレスの繰り返しは生体防御系を崩壊へと進める。
6.かぜの予防とストレス
心身ともに過度の刺激が持統するといわゆるストレス状態となり、生体防御の機能は低下します。
好中球やマクロファージが微生物侵入の場へ集合する機能が低下し、NK細胞がウイルス感染細胞を破壊・る活性が低下します。
適度の断統的なストレスは、プラスの刺激として働き、生体防御が円滑に働けるよう戦闘体勢をとらせます。
度を越すと門題となるのです.
ストレスには、精神的なものと、肉体的なものがあります。
ジョギングなどの運動も適度に行えばプラスの刺激になりますが、過度に行えばマイナスのストレスとなり、生体防御の機能低下をひき起こすことになります。
生体防御の正常レベルをひきおとすものは
1.化学療法
2.ストレス(気分を変える)
3.栄養不全(ここをおとすな)
清涼飲料水をのむだけでもスキットすれば変わる。
楽しい食事
7.かぜの予防
かぜがはやっているシーズンには人混みに入らないのが簡単な予防ですが、社会活動のためあるいは生活のため、人との接触を避けることはできません。
予防のカギは、生体防御を健全に保ち、かぜのウイルスが侵入しようとしても、粘膜表面で排除し、粘膜上皮細胞レベルで排除し、本格的な感染症へと進ませないことでしょう。
まず、肉体的な過度のストレスを避け、適度の刺激となる程度の運動を行うことも、1つのポイントです。また、精神的なストレスは出来る限り軽く受けとめる工夫が必要です。
しかし、精神的ストレスは、逃れ難い性質のものが多く、肉体的ストレスのように自分でコントロールするのは困難です。
仲間づきあいや社会活動への積極的参加によって、精神的ストレスを多少とも軽くする努カが必要です。ストレスの軽減の基盤には、当然栄養のバランスがとれ、ストレスさえ軽減されれば、円滑に動き得るように生体防御が整備されていなければなりません。
各種のストレスによる生体防御の機能低下の初期には、ちょっとしたプラスの刺激がその低下を防止します。
OTC薬はそのような段階で強カな効果を発揮すると期待されます。
バランスのとれた生活を基盤にして、あっと思ったとき、言いかえると生体防御の乱れのごく初期にOTC薬や健康食品の助けを借りるのが、賢明な自己管理の方式でしょう。
野本先生は、見事にOTC薬と医師の住みわけを言ってくださっています。
すなわち薬局のひとは典型的な免疫系統の活躍する場よりも前を受け持っていただくとよい